ケント・ナガノ

ワーグナーパルジファル

HMV レビュー

ケント・ナガノ/『パルジファル』全曲(3DVD)

ケント・ナガノが手兵ベルリン・ドイツ響を振り、バーデン・バーデン歌劇場のピットに入ってワーグナー最後の大作「パルジファル」を演奏した話題盤です。この作品に纏わる宗教性や崇高性は、過度に強調すると重々しくなり過ぎる危険性を孕んでいますが、抜群の音楽性と鋭敏な耳を持つケント・ナガノだけに、「パルジファル」のスコアに内在する至純で清冽な美しさを完全に引き出した、純音楽的な名演となっています。演出は、モダンさとセンスの良さで定評があるレーンホフによるものです。『ロード・オブ・ザ・リング』などの最新ファンタジー映画を思わせる、魔法の世界のような空間で、ヨーロッパ中世の衣装を身に纏った騎士や廷臣が活躍します。

ヘルベルト・ケーゲルの「パルジファル」に久々に感動したあとだけにこのケント・ナガノさんの DVD にも期待したい。