ヴィルパリジ侯爵夫人のサロンにて-3

サン・ルーはゲルマント公爵夫人に恋焦がれている語り手に気を使って、語り手をゲルマント公爵夫人のそばの椅子にかけさせてくれたのだったが、もじもじして、あがってしまった語り手は、いっこうに公爵夫人と上手にお話が出来ないのだった。
そして、スワン夫人(オデット)がヴィルパリジ夫人のサロンに現れるやいなや、ゲルマント公爵夫人はそそくさと帰ってしまうのだった。公爵夫人は元・高級娼婦(ココット)の女性とは同席しない主義だったのだ。
そのスワン夫人オデットは夫のスワンがユダヤ人であるにもかかわらず、反ドレフュス派の立場をとることによって、社交界での独自の自己の立場を築きつつあったのだが、今日のヴィルパリジ夫人のサロンでは、あの海のバルベックで忽然と姿を消したモロッコ革の忘れな草の装丁の男、シャルリュス男爵と親しく語り合っているのだった。
やがて語り手がヴィルパリジ侯爵夫人のサロンを立ち去ろうとすると、シャルリュス男爵がなれなれしく語り手の腕をとりながら、
『僕が君の人生の導き手になってあげるよ』などと言うのだった。
ん?
これって、もしかするとシャルリュス男爵はホモ?