2004-09-01から1ヶ月間の記事一覧

四輪馬車

エルメスのシンボルマーク「四輪馬車」に御者がいない(従者はいる)のは、「エルメスは最高品質の商品を提供します。そして、それをお客様自身で活かしてお使いください」という意味を込めたかったからだそうだ。 ジルベルトに逢えない日の語り手はブーロー…

ジルベルトに恋する語り手

フランク永井さんの渋い声で歌われた♪有楽町で逢いましょう♪http://d.hatena.ne.jp/mii0625/20031006、この、いまはビック・カメラになっている、有楽町そごうの1階で、16才の時に出会い、8年間交際し、別れた女性と、約20年後の夏、偶然、再会した。頂き物…

赤いスイートピー

『♪春色の汽車に乗って、海に連れて行ってよ〜♪』 プルーストの『失われた時を求めて』第一篇『スワン家の方へ』第三部は、この松田聖子の「赤いスイートピー」を思い出させるように、1時22分発の汽車に乗って、バルベックの「海のグランドホテル」に、私を…

霞町の交差点

南青山の交差点を右に曲がって、墓地下を抜けると、霞町の交差点*1だった。そこを左に曲がって坂を上れば材木町、右に曲がって坂を上れば高樹町、左右に曲がらず直進すれば広尾はもう直ぐそこだった。 プルーストの『失われた時を求めて』第一篇第三部『土地…

さるさる日記

僕は過去一年間にわたり、プルーストの小説「失われた時を求めて」の抄訳版を読んだ感想日記を「さるさる日記」に書いてきた。そしてこの八月から「はてなダイアリー」で全訳版の感想日記を書いてきて、何度も「さるさる日記」を読み返しているうちに、「さ…

スワンの恋の終わりのつぶやき

スワンは自分に向かって、こうつぶやくのだった…。 『まったく俺ときたら、大切な人生の数年を無駄に過ごしてしまった。オデットのためなら死んでもいい!とまで思うほどの大恋愛をしてしまった。俺の気に入らない女、俺の趣味でもない女だというのに…』 そ…

『スワンの変』な『間奏曲』

『若干』は『わかせん』ではありません!僕はこの 「ジャパネット高田」のTV CM が好きである。 むかしむかし、石坂洋次郎という作家がいて、「青い山脈」という青春小説の中に出てきた有名な台詞、主人公の高校生が『恋しい、恋しい○○さん』って書くところ…

サン=トゥーヴェルト侯爵夫人の夜会

こうして久々にオデットから自立して、一人でいそいそと夜会へとお出かけをしたスワンだったが、そこはそれ、ふと気付けば、隣にオデットがいないのが気にかかり、『さ、も帰ろっかな〜、僕のオデットが待ってるからな〜』と思っても、ピアニストの演奏が始…

出来ちゃった婚

それにしても…。スワンとオデットは《出来ちゃった婚》なのかしら?

アウェーでのいじめ

その後、スワンはヴェリュデュラン夫人の夜会で苛められ、オデットとのクルージングからも仲間外れにされたりして、オデットに翻弄されたかにみえたのだったが、そこはそれ、時が経つとともに、スワンのオデットへの恋心、嫉妬心も落ち着きをみせるのだった。…

恋敵(こいがたき)

こうして結ばれた二人だったが、それでも、もてもてスワンは若い女の子と遊び続けるのだった、とはならないところがいかにも『失われた時を求めて』らしいのだ、そう、もてもてを続けたのはオデットの方(ほう)なのです! な、なんと、オデットはスワンをエ…

接吻の雨

こうしてスワンとオデットの幸せな日々は続くのだった。 スワンはオデットにヴァントゥイユのソナタの小楽節を十度も二十度も弾かせ、それと同時に彼への接吻をつづけることも求めた。一つひとつの接吻が、次の接吻を呼び寄せる。ああ! このような愛の初期…

カトレアする

スワンがその姿を求めて夜のパリを探し廻ったオデットは、その日、「カトレアづくし」の装いだった。 彼女は手にカトレアの花束を持っていたし、レースのスカーフの下に同じランの花を白鳥の羽根飾りにつけて髪にさしていた。またデコルテの広い胸あきのとこ…

深夜のパリ

それでもスワンはしっかり、オデットよりも若いお針子の女の子とかとも遊んでいて、ブーローニュの森でその若いお針子ちゃんといちゃいちゃ、イチャイチャしていて、ヴェルデュラン夫人のサロンにオデットを迎えに行くのが(そう、スワンは、いつもいつもオ…

絵のように美しい女

恋したスワンの目にはオデットが、フィレンツェの画家、サンドロ・ボッティチェルリの描く絵の女性に似ていると思えるようになるのだった。 今年の6月から新潮社で「全集」が発刊されている辻邦生さん、その辻邦生さんの小説、『春の戴冠』を読んで以来、我…

恋の国歌

スワンがはいって行くと、ヴェルデュラン夫人はその日の朝、スワンが贈った薔薇を示して、「いけませんわ、こんなことをなさって」と言いながら、オデットの傍らの席を彼に指さし、一方ピアニストは彼ら二人のために、まるで彼らの恋の国歌のようなヴァント…

ヴァントゥイュのソナタに魅せられて

オデットに誘われて初めて出向いたヴェルデュラン家で若いピアニストが弾いたアンダンテは、その前の年、さる夜会でスワンが聴いたことのある「ピアノとバイオリンのソナタ」だった。 スワンはまるで、道で出会ってすっかり惹きつけられてしまった女、もう二…

恋愛ゲームの“ホーム”と“アウェー”

合コンにしろ、誰かの紹介にしろ、出逢った男女のその後の恋愛ゲームの展開はどうなっていくのが一般的なのだろうか? 自分の家なり、非常に親しく出入りしている場所なり、自分のホームで恋愛ゲームを展開してゆく場合と、逆に相手が慣れ親しんでいる場所に…

殺し文句

「愛情が恐くていらっしゃる?まあ、おかしな話ですこと。わたしなど、それしか求めておりませんのに。もし新しい愛情が見つけられるものなら、命を差し上げても惜しくありませんわ」とオデットはごく自然な、確信ありげな口調でつけ加えたので、スワンは心…

出会い

オデットとの出会い、それはある劇場で、スワンが旧友からオデットを紹介されたことがきっかけだった。 男にはみな、それぞれ型は異なるが、官能の要求するタイプと正反対の女がいるもので、オデットはスワンにとって、まさにそういう女の一人に見えたのだっ…

ヴェルデュラン夫人

「スワンの恋」はこう始まる。 「ヴェルデュラン家の「小さな核」、「小さなグループ」、「小さな徒党」に加わるには、一つの条件で充分だったが、それは必要条件だった」 それは他からみれば、取るに足らない、どうでも良いような条件だったが、当のヴェル…

鈴木道彦教授の全訳版の帯にはこうある カトレア、その花がスワンとオデットの愛の符丁であった

第二部

マルセル・プルーストの小説、「失われた時を求めて」第一篇「スワン家の方へ」、第二部は「スワンの恋」。